【脱・なんとなく】長文がデキル【参考書3選】

BOOKS ENGLISH WORK

  • 長文って,なんとなくしかわかんない!
  • そこそこ文法も覚えた!そこそこ単語も覚えた!・・・でも,長文が読めない!

なんとなくはわかるけど,なんかよくわかんない!という方,必見!これで変わります!

今日の目次です。

  1. “英文解釈” という勉強とは?
  2. 長文の学習について
  • 長文読解 = “単語” + “文法” + “解釈

多くの人にとって,長文読解ができるようになるためには『解釈』というものが重要になります。

1. “英文解釈” という勉強とは?

受験英語は『文法』・『単語』をある程度やれば,あとは『長文』だけでよいと思っている人,多いですね。

しかし,英文を『なんとなく』ではなく『なるほど!』と読むためには『英文解釈』という勉強が必要になります。

文字通り読むと『英文』を『解釈』するわけですが,多くの受験生は『英文を和訳すること』と捉えているんですね。

実は,多くの先生方は,言葉では『英文解釈』とは言いますが,基礎レベルにおいては,言わんとしていることは違っています。

  • 『英文解釈』=『文法・単語の知識を,英文を読むための知識に変える作業』

ここの作業が抜けていると,どんだけ頑張っても『経験と勘』で英文を読むことになります。またの名を『ギャンブラー』と言います。

知っている単語を単に読みつないで,内容を『読んで理解する』のではなく,『これまでに読んだことがある内容と似ているかどうか?』など『予想して当てる』って感じです。やっぱり『ギャンブラーですよね』

補足:たしかにこういう『勘』というのも大事なんですけど・・・受験生が最後まで『ワンチャンあるかも』では『点数が安定しません』よね。

たとえば・・・

『CO2』『warm』… 環境問題か?温暖化か?

いやいや・・・そういうキーワードが並んでいたら8割くらいは『環境問題』『温暖化』でしょうよ。まさか,それが『メガネの歴史』の話にはなりにくいですよね。

  • 『今までの知識からすれば,きっとこんなテーマなのかな』という戦い方だけではダメ

多くの受験生が,実際の試験では,ゆる〜い感じで読んでいって,論理を追いながら徐々に正確な理解へと進んでいきます。しかし,最初から最後までずーっと『なんとなく』では合格できません!そこで,この状況を打破するのが『英文解釈』なんですね。いわゆる『点と点』の知識を結んで『線』にするものです。僕の勝手なイメージですが,いわゆる『多胞体』における・・・

  • 『文法』=『点(頂点)』
  • 『解釈』=『線(辺)』
  • 『長文読解(論理展開の把握)(リーディング)』=『面』
  • 『作文(ライティング)』=『胞』(立体というの?よくわからんです)
  • 『聴解(リスニング)・会話(スピーキング)』=『多胞体の完成』

(▼ちょっと意味が違うかな・・・ざっくりとしたイメージなのでテキトーです・・・)(▼最近,ライティングとかスピーキングとかカタカナばかりなので『漢字』がいいんですけど,『多胞体』とか気張りすぎですかね)

例えば,『前置詞』はその意味にフォーカスがあたりがちですが,英文解釈的には次のような知識になります。

(a) The house stands …

(b) In the house stands …

… 換言すれば,Inという前置詞は「…の中に」という意味を持つ他に,the houseが主語でないことを示す働きをしているのである。

伊藤和夫, “Chapter 1 主語と動詞 1.1 S … V (1).” 英文解釈教室 新装版. 東京, 研究社, 2017, p. 1, ISBN-13 978-4327764876.

これを僕の講義風にまとめ直すと,2点の知識になります・・・

  1. 前+名 
    1. カッコして取り除く
    2. SとOにならない
    3. 形容詞 か 副詞 になる
  2. 左側に前置詞のない,最初に出てくる名詞(or名詞のカタマリ)をSと仮定して,対応するVを探す。

このように,『文法の知識』を『読解の知識』に格上げするのが『英文解釈の基礎段階』なんですね。

さきほど引用で挙げた例は『英文解釈教室 新装版』の最初の解説ですが,私は高1の夏休みに読んで『感動』しました。冗談ではなく本当に『感動』したんです。涙が出るほどに!です。

補足:ここ,英文解釈重視派の人々のベースになっている場合が多いんじゃないかな。とくに僕は強い方かな,と。

つまり,本当に勉強をしてこなかった僕からすると,この世界は『混沌』としていた,いやその混沌さにさえ気付いていなかったわけで・・・でも,1つのルールで『こんなに見通しがよくなるんだ!』って『感動の閾値』がハイパー低かったんですね。だから,『英文解釈の凄さ』を人一倍,人五倍くらい感じたので,『英文解釈重視派』なわけです。

だから,そもそも『そんなルール,あって当然』とか『読めばわかる』という人にとっては,なぜ説明的に読まなければならないのか?がわからないんでしょうね。
補足2:これ,私,とても興味があるんですが,外国語の勉強を『浴びる』系で勉強した学生は,第二外国語や第三外国語の勉強も同じようにやる人が多いのかしら?もちろん十把一絡げにはできないんですが,『無意識的に語学を学習』してきた人たちは,どうなるのかしらん?

さて,それではそろそろ個別に説明していきます。

  • 注意:これから,それぞれ本の解説をしていきますが,実際に私のところに質問に来てくれている学生のみんなには,学習状況などを勘案して助言しています。ですので,直接提案していることと多少ズレている部分もあると思います。

1.1『英文解釈の技術』シリーズ

学校から配布されている人も多いようですね。このシリーズも良いんですが,英文そのものに対する解説がそれほど多いわけではないんですね。

標題/タイトルがいわゆる『読解公式』になっていますので,『読解公式の便覧』的な使い方になるのかな,と思っています。

1.2 登木健司 難関大英語長文講義の実況中継【早慶上智・関関同立・MARCHレベル】

友人の本の紹介です。すみませんです。でも,いいんです,これ!登木健司 難関大英語長文講義の実況中継【早慶上智・関関同立・MARCHレベル】(https://amzn.to/37twSd1)です。

これ,難しいと思う受験生もいるんですが,僕は,基礎レベルの学生にもあえてお勧めします。

基礎レベルの人は『まず1回目は解説を読書する+英文をコピーしてSVOCやカッコのメモを写してみる』とかでもイイと思っています。

SVOCやカッコをチェックするのが苦手な人は『正しいチェックを練習する』必要があります。私の『SVOCやカッコの練習する』ための教材をやってからだと相当楽になると思います。

  • 読解公式が充実しています!
  • SVOCや矢印がめちゃくちゃ詳しく書き込んであります!
  • 現代文・小論文のコーナーがあり,英語長文を読むのに必要な知識が学べます!

この本には,SVOCやカッコがしっかり書き込んであります。さらには,現代文・小論文のコーナーで英語長文を読むのに必要な知識が学べるようになっています。1999年前後などにセンター現代文を最初に勉強してから,英語長文(たしか慶應SFCだったかな)を解説していく問題集がありました。試みとしてはこの時代からあったわけですが,ある意味この本は完成形ですね。とても簡潔にまとまっています。

通常,長文問題集的なものって私,勧めないんです。しかし,これは別です。

いままでは,西きょうじ先生の『ポレポレ英文読解プロセス50―代々木ゼミ方式』なども勧めてきましたが,もっと英文ごとに詳細な構造説明が欲しい!という方は,『とりまコレ一択』かと思います。

この本では,1文ずつ文構造が書かれていますので,ここまで書かれていれば『1人でも勉強できる』わけです。

自信を持って『独学にも最適化されている』と言えるでしょう!

番外編

自分のものを宣伝させてください。SVOCや品詞がマジでわかんない!知りたい!という小中高・高卒生・社会人に向けて書きました。このサイトですべて無料で公開してきたものを,大幅に加筆修正してnoteで販売しています。ぜひ,ご覧ください。

1.3 登木健司 難関大英語長文講義の実況中継(2)国公立大学編

英語長文講義の第2弾。登木健司 難関大英語長文講義の実況中継(2)国公立大学編(https://amzn.to/2zsFYKe)です。

登木先生の講義の特徴は,次の2つにまとめることができるかもしれません。

  • 徹底的な【抽象】【具象】の対応関係チェック
  • 徹底的な同型反復のチェック

これらの『技+構文』などの深掘り,が登木先生のスタイルかなと思います。(登木さん,違ったらごめん。一杯奢ります。)

この2冊だけでも相当読めるようになります。ただ,最初は『キツイ』と思う学生もいるでしょう。3回くらいはやり直して欲しいと思います。

完全独学なら,次のような感じでしょうか。

  • 高1の夏休みから,10ヶ月くらいかけて1冊目を,できれば2周以上。
  • 高2の春休みから,8ヶ月くらいかけて2冊目を,できれば2周以上。

でも,文系・理系/国公立・私立で相当変わりますので,ご自分の状況に合わせて進めてください。

もちろん登木先生に直接聞ける人はそちらをお勧めします!先生のサイトです。許可はまだとっていませんのでアドレスだけ載せます。(http://www.senryaku-shikou.com/top.html)

1.4 英文解釈教室〈新装版〉

さきほども登場しました『英文解釈教室 <新装版>』(https://amzn.to/37tWaYm)です。

私自身は,高1の夏休みから高2の夏休みまでで3回やり直しました。これやるだけで相当変わります。昔はハードカバーで字も読みづらかった。イイ時代になりました。英文を読まずに解説を読んでいくだけでも考え方を学ぶことができます。

どうしても難しいな,という人はいくつかポイントがあります。

  • 『例文』(1.1.1など)を精密に解釈しない。
    • → 時間がない人は基本,一度読んで意味を読んで「ふーん」でOK。
  • 1回目:日本語の解説を読むだけでもOK。
    • → 一応『例文』と『例題』の「英文」と「解説」と「和訳」は読んでおく。
  • 2回目:各項目の例題を1つだけやっていく。
    • → 各チャプターは幾つかの項目に分かれています。その項目ごとに例題が設定されています。1題のこともあれば2〜3題のこともあります(1.1 例題(1),1.1 例題(2)・・・1.3 例題・・・)。

具体的に言えば,次のような方法です。

  • 1.1なら例題(1)だけに取り組む。
  • 1.2なら例題(1)だけに取り組む。
  • 1.3は例題が1つだけなので,その例題に取り組む。
  • 1.4なら例題(1)だけに取り組む。

1度で完璧にやる!とすると挫折します。私は・・・挫折しませんでした!!でも,ちゃんとオチpunchlineはあります。あまりに完璧にやろうとして,ものすごい時間をかけました。他の科目に影響が出てしまったんですね。

  • 偏差値70くらいを超えたら,あとは維持に努めて他の科目をやるべき!

私みたいに,『英語は80を超えた!』などと言いながら,『数学は偏差値60前後』では『不合格パターン』です。

【朗報】研究社のホームページで『英文解釈教室』の『解説ページ』があります。『独学』にも最適化されてきています。ますますイイ時代ですね。

1.5 英文読解の透視図

私の師匠,玉置全人も執筆している『英文読解の透視図』(https://amzn.to/37DGMJb)です。

これ,大好きです。わたしが玉置全人のファンということもあります(笑)。

文系学部で『大学でも英語を武器にしたい』という方はお勧めします。僕は『東大・京大・阪大・外大・芸大の美術学部などの文系学部を受験するつもりならやるべき』という立場です。『英文解釈教室<新装版>』が終わった後で取り組みましょう。

私が高2のとき?高2の終わり頃?に出た本です。私もかなり丁寧に2回やり込みました。

ただ,志望大学や志望学部・学科はもちろん,他の科目とのバランスを考えると,『絶対やるべき』とまでは言えません。どこかでチラッと聞いたんですが,京大生でも『透視図は必要なかった』という人がいるようです。

でも,個人的には「この程度の『要素の移動』がわからない」では,大学(とくに文系)で困る場面が出てくるのではないか,と思うんですね。大学受験が終わった学生で,まだ取り組んでいない人は是非やってみてください。

補足:理系の場合は,そこまで気にする必要はないのでないでしょうか。私は文系学部におりましたゆえ,正確にはわかりませんが,知り合いの医師の方々や理系の研究者の方の話を伺っていると,『論文では専門用語が大事だからね。最近はめちゃくちゃ難しい文構造って見ないな』とみなさん,仰りますね。本当のところはどうなんでしょう?賢すぎて読めちゃっているだけかもしれませんが,実際,私も医学論文のアブストと入り口だけちょろっと読んだりすることがありますが,それほど文構造が入り組んでいるとは感じません。やはり『用語』ですよね。
玉置先生曰く『関係詞の分量が多すぎて,入らなかった』。

これ,新しいバージョン出版されないんですかね?

補足:ビジネス的ターゲティング・セグメントでも成功している本です(笑)。だって,いきなり『要素の移動』です。『受験生』より『先生』が買っているんじゃないかしら,これ。学校の先生や塾の講師の先生で,まだ読まれていない方はぜひお読みくださいませ。

師匠と室田先生の本といえば,『TOOL BOX』です。師匠の『百科全書』的視点(あ,もちろん良い意味ですよ)は講義レジュメを作成するときにめちゃくちゃ活躍しています。

補足:僕は,iPad Proの12.9インチhttps://amzn.to/2C5EGWF)を使っているんですが,最近,Kindleで購入できるものはすべてKindleにしています。買い換えているものもあります。ただ,Kindleには直接メモが書き込めないので,スクショをとって,PDF化したものに書き込んでフォルダにまとめるって感じにしています。もっと効率的な方法がありましたら,教えてください!

参考書がいろいろありすぎて,いつまでに?どれくらい?やればいいの???という方へ

このブログでもいろいろな参考書を紹介してきました。しかし,「たくさんあって,進め方がわからない!」ですよね。

ですので,私なりの提案をしたいと思います。ぜひ気になる方は次の記事を読んでください。スケジュールについて⬇️

https://lielaylain.co.jp/2020/07/14/books-schedule

補足:どの参考書がいいか?はもちろんその人の置かれている状況やその人の個性によって変わるわけですが,学習スケジュールもその人によって様々です。『つねに科目とのバランスを考えならば,自分風にアレンジする』という姿勢を忘れないでください。でも,悩んじゃって動かないくらいなら,まずやってみましょう!やっていくうちに『こっちはもうちょっとやろっかな。あっちはちょっとお休みにしようかな』ってわかってきます。河合塾生で,どうしても1人では無理!という方は直接,私のところまでご相談に来てくださいませ。

2. 長文の学習について

次に長文の学習についてです。

これは皆さんからよく質問がでますよね。そこで,以前FAQ(Frequently Asked Question)に答える形式のものを作りましたのでそれを載せます!

Q1 長文問題ができません。

A1 何ができないのかを明らかにしましょう。

みなさんはすぐに『長文ができない』『長文が苦手』といいますが,そんなみなさんに質問です!

  • 『それ,どういう意味ですか?』

実際,「長文ができない」という日本語は不自然ですよね。

  • 「長い文が集まったもの」が「できない」・・・

やっぱり意味がトンチンカンです。

そこで,いわゆる『長文』を微分して,その微分係数をそれぞれ見ていく必要があると思います。

もっと簡単に言えば,長文問題は次のような要素で成り立っていると考えられます。

  • ① 単語・熟語,② 文法,③ 構造,④ 構文,⑤ 和訳,⑥ 内容,⑦ 論理,⑧ 背景知識,⑨ 内容一致などの設問,⑩ 英文を読むスピードや設問に答えるスピード。

長文問題を解き終えたら,その都度,毎回どの項目が弱点かをチェックし,その弱点をどうやって克服するか計画を立てましょう。

【長文読解問題のチェック10項目】

① □ 単語・熟語② □ 文法
③ □ 構造④ □ 構文
⑤ □ 和訳⑥ □ 内容
⑦ □ 論展開⑧ □ 背景知識
⑨ □ 内容一致などの設問⑩ □ スピード
長文読解の復習として,まずどこに問題があるのか?を考えてみましょう。
そうすることで,何から復習をすべきかがわかるかと思います。

基本的に学習が『初期段階』だと『前半の方にチェックが集中』します。また,過去問レベルになると『要約』なども入ってきますので,このリストを自分風にアレンジしていく必要が出てくると思います。

Q2 長文がなんとなくしか読めません。/長文が速く読めません。

A2 いくつかの原因が考えられます。

よくあるものとしては,次のようなものでしょうか。

  1. SVOCを駆使して構造が把握できず,単語と背景知識とでなんとか読んでいる。
  2. 時間を意識し過ぎて読み飛ばしている。
  3. 実は英文は読めているが設問が解けていない。
  4. SVOCを全てにチェックしながら/全訳しながら解いている。
  • 【①の場合】
  • ➡︎ 丁寧にゆっくりと読んで和訳する,いわゆる「精読」の練習をするとよいでしょう。和訳はちゃんとノートに書いてみましょう。頭の中では訳せた気になるだけです。実際に書いてみましょう。そして赤ペンなどでしっかりと直して,さらにそれを清書してみてください。
  • 【②の場合】
  • ➡︎ 長文の復習として,構造も内容も分かったものを20,30回と「読んで」「和訳する」練習が不足していることが多いようです。フレーズごとに読む「チャンクリーディング」などの練習をしましょう。何度も「同じ」英文を読むことで,考え方や手順を体に覚えこませてください。
  • 【③の場合】
  • ➡︎ 答え合わせのときに設問や選択肢の読み間違いがないかを確認しましょう。英文が読めていても設問を読み間違えていると点数はあがりません(私の体感ですが,内容一致問題の英文を読み間違える人の多くは,文法問題の和訳を確認していない人に多いように思います)。
  • 【④の場合】
  • ➡︎ 読めるところは素早く読み,読めないところや不安なところだけSVOCなどチェックするようにしましょう。何事も緩急をつけることが大事です。This is a pen. に書き込みは必要ないですよね。

Q3 読んでいるうちに内容を忘れてしまいます。

A3 主な原因は3つです。

次のようなものが考えられると思います。

  1. 背景知識がないので理解するのに時間がかかり,その間に前の内容を忘れてしまう。
  2. 構造などを意識しすぎて,ゆっくり読んでいるため,前の内容を忘れていってしまう。
  3. 1つの段落が読み終わると,その段落の内容を確認せずにすぐ次の段落へ進んでしまう。

いずれの場合も,1つの段落を読み終えたら,慌てて次の段落へ進むのではなく,一度内容を確認してみましょう。メモを残すのも有効です。

合い言葉は「読んだら,戻る」。以前のセンター試験の第6問のように段落ごとに簡単なタイトルをつけるのもよい練習でしょう。

今日はここまでです。

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