【Yohji Yamamoto】books / photographic album【TOP7+α】

BOOKS FASHION-ART YOHJI YAMAMOTO

こんにちは。ライレイレイン オフィシャル / Chihiro’s Wardrobe の ちひろ です。

ツイッターインスタ にもあげましたが,今回は番外編です。【Yohji Yamamoto】books / photographic album【TOP7+α】

I’ll introduce my recommended Yohji Yamamoto books and photographic albums to you. My Favorite 7 + α !!

数年前,ヨウジヤマモトファンの学生数名から,ヨウジヤマモト関連でオススメの本はありますか?と聞かれたことがあります。

今回は,ヨウジヤマモト関連のオススメ本をじっくり解説します。今回もかなりの長文です。

オススメ7選+α。

1冊目:山本耀司。モードの記録。モードの意味を変えた山本耀司の足跡を探して。

みなさんが,もしヨウジヤマモトについて知りたいと思ったら,読むべきはこの本ですね。Japanese edition だけでなく Chinese editionもあります。Chinese edition では “Toshiko Taguchi;  All About Yohji Yamamoto From 1968” というタイトルになります。

私自身,ヨウジヤマモト関連の主要な本は,もちろん全部ではありませんが,そこそこ持っている方かもしれません。インスタ(lielaylain_official)にあげたコレクションは7割(雑誌を入れるとまだ10数冊あります)くらいです。

その中でも,この本はとても情報量が多く,さまざまなインタビュー記事や写真が見られます。とても充実しています。ハイファッションをあまり読んだことのない人がヨウジを知るには最適だと思います。

ヨウジをきっかけに坂口安吾や澁澤龍彦を知るという人も出てくるのでしょうか。というか,もうすでにたくさんいるのかもしれませんね。

私にとっては,Res, non verba. というと“川久保玲”。

「不言実行」という意味より,もっと直訳的な「“言葉”ではなく“物”」という印象。Decorum の破壊と実験。

“山本耀司”は Ut pictura poesis といったところでしょうか。「酒と煙草は飲んで通る」もいいですね☺️ホラティウスと井原西鶴が並ぶ人もそんなにいないでしょうな。

Ut pictura poesis「詩は絵画のように」。ラオコン論争は脇に置いておきます。私には,“山本耀司”は Decorum を求める,静かに怒りを抱えた,いわば布の吟遊詩人turba のように思われるのです。本人が言うように「都会のノマド」でもよいんですけど,耀司さんはいわゆるノマドより饒舌かしらん☺️

でもこれ,どうなんだろう。耀司さんの年齢に近い人はもっと「怒り」みたいなイメージが強いのかもしれません。

じゃあ,私自身はといいますと「黒板を前に,伊達と酔狂で白墨を手にする道化師」と言ったところでしょうか。

 

追加 服を作る 増補新版 ― モードを超えて

耀司さんの言葉をもっと読みたい,という方にはこの本がいいでしょう。(https://amzn.to/3cugnz0

目次

PREMIÈRE PARTIE 後ろ姿

DEUXIÈME PARTIE 100の質問

TROISIÈME PARTIE 手から出ていく魂

APPENDICE 服の作り方

山本耀司,宮智泉. 服を作る モードを超えて 増補新版. 東京, 中央公論社, 2019, 201p., ISBN978-4-12-005196-8

第2章の「100の質問」。端的にヨウジヤマモトを知りたければこれを読むとよいでしょうね。

追加 BS1スペシャル 「ヨウジヤマモト~時空を超える黒~」

2019年5月にNHKで放送されたドキュメンタリー番組(https://amzn.to/3bzsh9f)です。文字で読むのは大変,という人はこちらの番組をご覧ください。アマゾンのプライムビデオ(https://amzn.to/2Z2p67I)のNHKオンデマンドで観られます。

いままでにも ヨウジヤマモト を特集した番組は色々ありました。今回のドキュメンタリーは,今までのものより「いまの山本耀司をもっとじっくり?ゆっくり?と取り上げた」という感じが強かったように感じます。いままでの番組は『ヨウジそのもの』を取り上げていた印象なのですが,今回の酒井ティレクターのドキュメンタリーは「なぜ山本耀司の服が『いまの若者』に響くのか」に興味があるんですね。それは日本も超えて海外へ。『時空を超える黒』というタイトルはまさにそういう意味。とくに中国での支持がすごい。そんな現状をしっかり描こうとしている,という視点。また,京都の捺染,刺繍など日本の技術(とくに友禅などの着物で用いる技術)も取り上げています。

時代,世代,性別,国,宗教を超えて,手引きだったり京都の職人の技術だったり,耀司さんがどういう思いでクリエーションに向かっているのか(2019AW femmeは「「背守り」がテーマ)などがわかります。また,あれほどのデザイナーが床に膝をつき,床に寝転んで,服と向き合う場面,とても印象的でした。(2020/05/28に加筆修正しました(⁎⁍̴̆Ɛ⁍̴̆⁎)V)

そして,いままでのドキュメンタリーと違うのは,中国での受容について触れられているところでしょう。

    このドキュメンタリー番組製作者の酒井ディレクターのコメントはこちらにあります。(https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/3115508/index.html)(https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/bs22/special/2019/04/0426.html)

NHK にリンクの許可は取っておりませんので,アドレスを載せるだけにします。

補足:2020 / 05 / 25 このドキュメンタリー,とても評価されたようです!よかった!国際的なコンクール「ニューヨーク・フェスティバル」ドキュメンタリー部門(バイオグラフィー・プロフィール)で金賞を受賞し,ドイツのワールドメディア・フェスティバル「ドキュメンタリー:伝記部門」でも金賞を受賞。

私は femme の 2019 AW に行くことになっていました。番組制作のためにコレクションを取材されていた酒井ディレクターとは実際に店舗でお会いすることがあり,いろいろお話しさせていただきました。さらに,パリ では【オブ・ヘアー】の代表でいらっしゃる古里オサム氏とお話をさせていただく機会を得ました。偶然ホテルが同じだっただけなんです。びっくり。ヨウジヤマモトのパリコレ 2019AW は多分に刺激的でした。

興味ある方はぜひこの番組をご覧ください。

2冊目:Yohji Yamamoto: My Dear Bomb 山本耀司,満田愛

耀司さんの言葉といえば,こちら。これは写真集ではありません。彼の考え方を知るにはとても良い本ですね。耀司さんのエッセイ。詩集のようでもあります。余白がよいです。

本全体が真っ黒。この佇まいにヤラレた!という方も多かったのではないでしょうか。グラフィック・デザインは Paul BOUDENS,図版製版は STEURS, Antwerp,印刷・製本はPROOST, Turnhout です。

第1章

-1- 午前3時の女 -2- 父兄参観 -3- はぜの面 -4- 裸のヤドカリ -5- ツツジと死 -6- 心のそばの胃のあたり -7- 朝のカフェ

第2章

-1- 柿の実のはなし -2- 人生劇場 -3- 偶然の数珠つなぎ -4- パリ -5- 黒い星 -6- 金魚すくいと砂丘の旅 -7- 鼻唄 男よ,女よ -8- 都会のノマド -9- オトシマエ -10- 暗号 -11- 種馬とクリエーション

山本耀司, 満田愛, MY DEAR BOMB. 東京, 岩波書店, 2011, 204p., ISBN978-4-00-024811-2

最後には松岡正剛さんの「面影の逆襲」が読めます。

僕が好きなのはノマドとポケットの話。ヨウジのポケット,好きです。僕は,B4が横に入るほど大きい鞄にパンパンになるまでひたすら詰め込んで歩いています。荷物,減らない。捨身の行いが足りないんだな。

3冊目 TALKING TO MYSELF BY YOHJI YAMAMOTO

ドイツ・ライプチヒ国際ブックデザインフェア「世界で最も美しい本展」ブロンズ賞を受賞しており,Gerhard Steidl 氏の作品でもあります。Peter Lindbergh らの写真,山本耀司本人のドローイング,鷲田清一氏による論考等を収めるものと,パリコレクションデビューの1981年から2002年までのコレクション写真を紹介するものとで構成されます。2冊構成。

ひさしぶりに本棚から出しました

じつはこれ,買ってから本を開くまでに1年。紙を纏める“仕付け糸”を眺めるので精一杯。なにかとても神聖なものに思えました。

これは,もちろん中身,素晴らしいんです。いうまでもありません。でも,額縁が意識的に,あるいは無意識的に絵そのものを超えていこうとしてしまう可能性を孕むように,この TALKING TO MYSELF は,「本」の “外側” の存在感というものに感動しました。Gerhard Steidl という人を知ったのも,この本が初めてだったと思います。

追加:『たかが服、されど服』

この TALKING TO MYSELF のなかには 鷲田清一氏 の論考があるわけですが,その論考に若干の加筆・修正をおこなったものがこの『たかが服、されど服』です。

山本耀司の作る女性のドレス、それを後ろから見るのが私はほんとうに好きだ。歩むたびに、布が優美になびく、柔らかくまとわりつく、なだらかに残響する、なのにその姿の中心にある背中はまっすぐに凛々しい。とりわけ裾さばき、つまり布が身体からいちばん離れるところ、そのデザインを山本はこよなく大切にしているようにおもわれる。エレガンスとシック、山本耀司が作る服にそんなにありふれた言葉しかここで引けないのがくやしい。

鷲田清一. “女性的なるもの、あるいは埋められぬ隔たり”. たかが服、されど服. 東京, 集英社, 2010,p. 69, ISBN978-4-08-771289-6

ヨウジヤマモトの真骨頂は コート だと思います。『質感・量感・被服空間』“憂い”も“怒り”も“かよわい強がり”も,ぜんぶ着込んじゃう,そんなコートのように感じます。「対象を言語化しようとするのが芸術学,主体の中の感情を言語化しようとするのが美学」と,ある研究会で聞いたことがあります。美は言語的な挑発だとか。

美は言語的な挑発である。しかも、描写対象を同定するだけにとどまらず、われわれは言葉によって美に挑もうとする。すなわち、美は、われわれがそれを言葉によって捉えようと試みたくなうような魅力であり、かつ、どのような言葉もそれを捉えることができないがゆえに美なのである。

佐々木健一. “I 基礎的な諸概念”, “美”, 美学辞典, 東京, 東京大学出版会, 1995, P. 13, ISBN4-13-080200-3

こういうのは『服飾美学』といえるのかしらん。難波優輝さん(美学の方)の『おしゃれの美学』を読んだり,難波さんのサイトを拝見させていただいたりしています。僕に能力がもっとあれば,一緒に何かできただろうに。惜しいです。

美学の世界に浸ってみようとちょいちょい努力するが,独学はなかなかどうして。。。やはり,そろそろ大学に戻りたい。ジゼール・ブルレとか,いろいろこういう話,また別の機会で取り上げます。

4冊目:Yohji Yamamoto

Ligaya Salazar の Yohji Yamamoto: Victoria & Albert Museum, 2011 です。Ligaya Salazar という人は,V&Aのコンテンポラリープログラムのキュレーターの方です。

私が一番よく手にする写真集はこの写真集ですかね。写真のチョイスがとても良いと思います。写真も,白黒,カラーがあり,全体の配置がとても心地よいです。大きさもちょうどよいです。

この写真集でもっとも私の印象に残るが Donata Wenders の backstage photographs 2002。見開きで右下の方に耀司さんが背を向けて座る。耀司さん,科を作るのがうまい。

また,Nick Knight で好きなのが “Susie Smoking, Susie Bick for Yohji Yamamoto, 1988” と “image for the exhibition Yohji Yamamoto at the V&A, 2010” です。多くの写真集や本人のサイトでも見られます。興味のある方はぜひ調べてみてください。レディ・ガガの Born This Way のPV監督を務めた方です。

5冊目 Yamamoto & Yohji 

Wim Wenders だけでなく,北野武が映画dollsの場面とともに寄稿しています。2014年のものですね。

中身の充実という点では,これ1番だと思います。この写真集はCDのこと,他の写真集,コレクション,店舗・・・ものすごく情報が多いですね。最後の方には New York の店舗も出ています。もし何冊も買えないし,1冊でよいから内容が豊富なものが欲しい!という方には,迷わずこちらをオススメします。

繰り返しますが,写真のチョイスや配置配色がとても好きです。とてもよいんです。

でも,重たいんです,これ。だから,Ligaya Salazar のものを見てしまいます。でも,気持ちの余裕があるときはこれ見ちゃいます。

寄稿している1人に Wim Wenders がいますが,彼の Notebooks on Cities & Clothes(「都市とモードのビデオノート」)(1989)を知らない,現代のヨウジファンも多いのではないでしょうか。「若き日のヨウジ」に出会えます。

ほかには次のようなものがあります。

追加 光琳社出版YOHJI YAMAMOTO ― mémoire de la mode

こちらはとてもコンパクトなものです。François Baudot フランソワ・ボド氏のテキストが最初数ページあり, あとは写真が並びます。美しい。

この本に収められている写真は,上記で紹介してきた写真集などを持っていれば,ほぼ全て網羅できてしまいます。しかし,数枚の写真はこの本だけ(?)だと思います。(違ったらごめんなさい)。

「毛皮の縁取りのあるウールラシャ地のペチコートとロングドレスの上にウエストを絞ったジャケット」(1990-91AW)Lindbergh リンドバーグ氏の写真。

「母 山本冨美,そして(彼の)ギターと一緒の山本」Françoise Huguierフランソワーズ・ユギエー氏の写真。

これら2枚は他ではあまり見かけないです。私の好きな2枚です。

大きい写真集はちょっと…という方にオススメです。(https://amzn.to/2ySeddS

追加 Yohji Yamamoto 

Yohji Yamamoto Taschen America Llc; Bilingual版 Yohji Yamamoto (著), Terry Jones  (編集) です。

これはサイズがかなり大きめです。品の寸法が 30.7×43×1.9 cm です。でも,思ったほど高額ではありません。写真と耀司さんのコメントが並びます。

追加 Fluence: The Continuance of Yohji Yamamoto

これは2020年5月現在では THE SHOP YOHJI YAMAMOTO (https://theshopyohjiyamamoto.jp/)でも購入できます。“ヨウジに見えているストリート”という印象。写真は白黒のみ。現在のヨウジファンにはこちらのほうが好まれると感じました。蜷川幸雄さん,リリーフランキーさんの写真,よかったです。

6冊目 Lens 目客003:山本耀司 

这本书是关于深入山本耀司的时装哲学。この中国語は正しいんですかね?中国ではかなり「ヨウジ哲学」が受容されてきているようですね。

 中信出版集团 CHINA CITIC PRESS のものです。这真是太棒了!この本,正直すごい!中にA6版の冊子もついています。私,中国語は分からないのですが,この目客,すごいセンスを感じる! 視覚系列,目客系列,影像系列(これは映像のことかな?)というシリーズに分かれているようです。

Lens No. 003 目客(2016.3)は『耀司』特集で,ページ数は141ページ。表紙から最後の最後まで『耀司』って感じです。全体に『針と糸』が意識されていたり,Yohji Yamamoto を伝える気合いを感じます。

もちろん知っている写真もありますが,そのカットを使うのね!っていうものもあります。P. 106, 107 の段ボールの写真。これは本社ですかね。これ,僕はあまり記憶にない写真だな。Arun Nevader のステージの耀司さん,Kristy Sparow の写真の並べ方とか良いですね。p. 50, 51 の見開き。スタジオにデッサン画を並べて,真ん中にハイライト。それから,法满(漢字があっているかどうかわかりませんが・・・)という方の写真も目に留まるものでした。

2019AWパリコレ。グラン・パレの前で入り口を探していたときに驚いたのが,アジア系のヨウジファンの多さ。大きなハット(2011SS homme のもの)を被り,薄手のアセテート(だったかな?)のマントを羽織り,ウールギャバのスカートにドクターマーチン。入り口を一緒に探したこの男性は韓国から来ていました。ヨウジヤマモトがこれほど広まっているとは,と驚きました。コレクション会場では,私の方が “にわかファン” みたいな格好でした。ラフすぎたな。ロープジャケットでも着て,周りを威嚇すればよかった。。。

一年に一度じゃもったいないね

7冊目 YOHJI YAMAMOTO 2018-19AW Photo Art Book 

Femme fatale とともに

こちらは写真家 Leslie・Kee の渾身の作品です。モノクロ。彼のことを思いやる耀司さんから「本気の写真を撮ってこい」という言葉。10年ぶりにフィルムカメラで撮影したそうです。

もともと2018-19 AWコレクションは,Pablo Picasso らに代表される絵画のキュビスムと,2017年に亡くなったファッションデザイナーの Azzedine Alaia へオマージュを捧げたものと言われています。

Leslie Kee の作品はどれも有名ですが,YOSHIKI さんの写真の印象がみなさんには強いかもしれませんね。

これも大判でして 縦53 × 横 40 × 厚み2 cm もあります。こちらも 2020年5月 現在では THE SHOP YOHJI YAMAMOTO(https://theshopyohjiyamamoto.jp)で購入できます。

2019AWのパリコレで,ショーの後,椅子から立ち上がり帰ろうとすると,ずっと横に Mr. Kee がいてドキドキしたのを覚えています。

余 談

自分は,なんとなく撮る写真があまり好きではありません。いや,「好きではない」というか「恥ずかしい」んですね。撮る人と撮られる人の間にはある特殊な時空間が存在しますが,その周りにいてその「演劇」を見る(いや,見せられている,いやいや,見させられている)人々にとって,その「演劇」には一種の滑稽さみたいなものがある,ように思えてしまうのです。

で,その周りの人たちが感じているかもしれない滑稽さを想像してしまうんですね。だから,なるべくその時空間を最小限にしたいと思うのです。

でも,写真を,そういう“なんとなく”のものではなく,別のもののように捉えられるようになったきっかけは,土門拳(Domon Ken, 1909 – 1990)やSaul・Leiterソール・ライター(1923 – 2013)かもしれません。

土門拳が撮る仏像の手のひらにとても感動したことを覚えています。山形県酒田市にある土門拳記念館,まだ訪れていないのです。いかねば。

土門拳 古寺を訪ねて 京・洛北から宇治へ

ALL about Saul Leiter ソール・ライターのすべて

ぜひご覧くださいませ。

おまけ:黒の服飾史

徳井淑子氏の著作。2019年のものです。

第1章 多色使いポリクロームの忌避

第2章 モノクロームの道徳性

第3章 黒いモードの誕生

第4章 メランコリーの系譜

第5章 プロテスタントの倫理とモノクローム志向

第6章 白いモードと白の表象

第7章 近代社会のブルジョアの色

第8章 産業社会の労働の色

第9章 近代都市とジェンダー

第10章 現代のモノクロームと黒の表象

徳井淑子『黒の服飾史』河出書房新社, 2019

黒とはなんなのか?大学の政治社会学の講義でも出てきた話題でした。

フランス革命後,黒色を好んで着ていた。市民社会の色,禁欲の色。裁判官の制服である法服(検察官と弁護士は着用自由)が黒なのも,何者にも染まらず公平に,という意味がある。

写真を並べただけの服飾史紹介ではありません。図版が豊富な図説というようなものではなく,図版を最小限にして「黒」について全般的に記述されています。図版出典や参考文献も興味を持ち始めた人には最適だと思います。マックス・ヴェーバー(1864〜1920)の著作『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』なども取り上げつつ,「黒」について説明しています。

第5章 プロテスタントの倫理とモノクローム志向

2  プロテスタントの色彩倫理とメランコリー

・・・一六世紀のヨーロッパで黒服が定着したことには,プロテスタントの色彩倫理が大きくかかわっていた。一五一七年にルター(一四八三〜一五四六年)が示した九五カ条の意見書に始まるプロテスタントの活動が,黒を倫理的な色として認めたことは,この世紀とその後の黒服の歴史を支える大きな要因となった。・・・

同書, 108頁

個人的には,「黒とイスラーム文化」が興味深かったです。

歴史も含めて基本的な事柄を知るにはちょうど良いと思います。社会学系の人だけでなく,ぜひファッション系の人にも読んでもらいたい本です。「黒の衝撃」については,「おわりに」で少し触れられています。

最後の最後に・・・

みなさんの中には,美術系・芸術系・ファッション系・理工系の学生さん,いますよね。でも,画集とか写真集・資料集とかってやっぱり高いわけです。ちょっとでも節約したいですよね。アマゾンの Prime Student にはたくさんの会員特典がありますので,ぜひ活用してください。

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今日はここまでです。

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